マンション修繕積立金、月々8,000円!安いと思う前に、私が見ること。
中古マンションの物件資料を見ていると、こんな数字が目に入ることがあります。
「修繕積立金 月々8,000円」
毎月の住宅ローンや管理費とは別に支払うお金ですから、負担は少ない方がうれしいですよね。
でも、ちょっと待ってください。
「8,000円って安いのかな?」
「安すぎて、あとから大きく値上がりしない?」
そんなふうに考える方もいると思います。
実は私も、この数字を見ただけでは、まだ安心も心配もしません。
なぜなら、同じ月々8,000円でも、マンションによって意味が違うからです。
では、私は何を見ているのでしょうか?
まず確認するのは、この3つ!
修繕積立金の金額を見たとき、私が最初に確認するのは次の3つです。
専有面積 ── 70㎡? 80㎡?
築年数 ── 築5年? 築30年?
総戸数 ── 30戸? 100戸?
この3つは、どれか一つを見るのではなく、頭の中で組み合わせて考えています。
例えば、同じ月々8,000円でも……
① 70㎡と80㎡では?
部屋の広さが違えば、1㎡当たりの負担額も違います。
70㎡なら約114円/㎡、80㎡なら100円/㎡です。
もちろん、これだけで適正かどうかは判断できません。
② 築5年と築30年では?
築年数が違えば、これまでに積み立ててきたお金も、これから必要になる修繕も違います。
築浅だから必ず安心、築古だから必ず危険、というわけでもありません。
③ 30戸と100戸では?
ここは少し面白いところです。
もし全戸が月々8,000円ずつ積み立てていたら……
・30戸のマンション → 毎月24万円
・100戸のマンション → 毎月80万円
年間では、それぞれ288万円と960万円です。
※全戸同額・滞納なしと仮定した単純計算です。実際の負担額は住戸によって異なる場合があります。
こうして見ると、100戸のマンションはたくさんお金が集まりますね。
「じゃあ、100戸の方が安心?」
そう思いませんか?
でも、私はここで一度立ち止まります。
100戸のマンションは、30戸のマンションより建物が大きかったり、設備が多かったりするかもしれません。
お金がたくさん集まることと、お金が十分に足りていることは、同じではないんです。
マンションの設備を見ると、つい気になること
3つの数字を確認したら、今度は建物全体を見ます。
例えば……
・ エレベーターは何台ある?
・ 機械式駐車場はある?
・ 植栽は多い?
・ 特別な共用施設はある?
便利な設備やきれいな植栽は、マンションの魅力ですよね。
でも、その設備を維持するには、点検や清掃、修理、将来の更新などが必要です。
実は私、マンションの受水槽の中に入ったことがあります。
受水槽とは、建物で使う水をためておく設備のことです。
私は以前、マンション管理会社で働いていたことがあり、設備の点検や清掃などの見積もりに関わっていました。
その仕事の中で、受水槽の内部に入って、実際に清掃を経験したこともあります。
マンションの購入を考えている方にとっては、あまり想像しない仕事かもしれませんね。
その後は新築マンションの販売に携わり、管理会社と管理費や修繕積立金の設定について何度も打ち合わせをしてきました。
こうした経験があるので、マンションを見ると、つい考えてしまうんです。
「このマンションの設備は、誰が、どんなふうに維持しているんだろう?」
部屋の中だけを見ていても、なかなか気づかない部分です。
なお、日常的な点検や清掃などは主に管理費から、計画的な大規模修繕や設備更新などは主に修繕積立金から支出されます。実際の使途は管理規約や会計処理によって異なります。
築浅で月々8,000円なら、大丈夫?
「築年数が浅いマンションなら、修繕積立金が安くても安心ですよね?」
そう思う方もいるかもしれません。
新築マンションでは、購入時に「修繕積立基金」というまとまったお金を集めることがあります。
私が新築販売に携わっていた頃も、購入時に数十万円単位の基金を集めるマンションがありました。
ですから、月々の積立金が少なくても、最初から一定のお金が蓄えられている場合があります。
ただし、ここにも注意点があります。
修繕積立金には、将来、段階的に金額を引き上げる計画になっているマンションもあります。
今は月々8,000円でも、ずっと8,000円とは限らないんです。
そこで私なら、現在の金額だけでなく、
今、どれくらい積み立てられている?
今後、どんな修繕が予定されている?
将来、積立金が上がる計画はある?
といったことも確認したくなります。
もう一つ。マンションは「みんな」で決める建物
ここまで、建物の広さや設備、お金の話をしてきました。
でも、もう一つ大切なことがあります。
それは、マンションの修繕は、自分一人では決められないということです。
例えば、将来の修繕に備えて、積立金を増やす必要が出てきたとします。
「建物を長く大切にしたいから、今のうちに増やそう」
という人もいれば、
「毎月の生活費もあるし、できれば負担を増やしたくない」
という人もいるでしょう。
どちらにも、それぞれの事情があります。
マンションでは、こうした考え方の違う所有者たちが、管理組合を通じて建物の維持管理を決めていきます。
必要な工事があるからといって、必要なお金をいつでも簡単に集められるとは限りません。
つまり、修繕積立金の数字には、建物の状態だけでなく、所有者たちの判断が関わっていることもあるのです。
月々8,000円。その数字の向こうにあるもの
中古マンションを見学するとき。
きれいにリフォームされた部屋や、使いやすそうな間取りを見るのは、もちろん楽しいものです。
でも、物件資料に書かれた小さな数字にも、少しだけ目を向けてみてください。
修繕積立金が月々8,000円なら、まずは専有面積・築年数・総戸数を見てみる。
そして実際に購入を検討するなら、長期修繕計画や積立金の残高、修繕履歴、将来の値上げ予定なども確認したいところです。
私は、月々8,000円という数字だけで、良いとも悪いとも判断しません。
その8,000円は、どんなマンションを支えているお金なのでしょうか。
物件資料の数字を見たとき、その向こうにある建物の姿まで、ちょっと想像してみてください。
かかりつけの不動産医|みやけん
